2026/10/14コラム-WEB
ホームページ維持費の勘定科目|費目別の仕訳と注意点
ホームページの維持費は、ドメインとサーバー代を通信費とし、保守や更新代行の費用を支払手数料で処理するのが一般的な分け方です。
勘定科目の名前は会社ごとに決めてよく、大事なのは毎年同じ科目で処理し続けることです。
制作費は金額や機能によって一度に経費にできない場合があります。
この記事の表を手元の請求書に当てはめたうえで、最終的な処理は顧問の税理士に確認してください。
維持費の6費目と勘定科目の対応表
維持費は6つの費目に分けると、科目を選ぶ手がかりが見えてきます。
下の表は実務でよく使われる科目と、判断が分かれやすい場面を並べたものです。
| 費目 | よく使われる勘定科目 | 判断が分かれる場面 |
|---|---|---|
| ドメインの取得・更新 | 通信費・支払手数料 | 2年分以上をまとめて払ったとき |
| レンタルサーバー | 通信費・支払手数料 | 1年分を前払いしたとき |
| 有料のSSL証明書 | 通信費・支払手数料 | 複数年の契約を結んだとき |
| 保守・更新代行 | 支払手数料・外注費 | 機能の追加が同じ請求に混ざるとき |
| 月額制ホームページの利用料 | 支払手数料・広告宣伝費 | 契約に制作費の分割払いが含まれるとき |
| 有料テーマ・プラグイン | 消耗品費・支払手数料 | 買い切りで金額が大きいとき |
ドメインとサーバーの費用をインターネットにつなぐための支出として通信費にまとめる会社は多く見られます。
会計ソフトの補助科目に「サーバー」「ドメイン」「保守」を作って付けておくと、科目は通信費のままで費目ごとの年間の合計を出せます。
freeeなら品目やタグで同じ分け方ができます。
契約の窓口が制作会社で、請求書に「サーバー管理費」と書かれている場合は支払手数料で処理する例もあります。
どちらの科目を選んでも毎年そろえていれば帳簿の上で比べられます。
保守の費用は作業の中身で科目が変わります。
セキュリティ更新やバックアップのような維持の作業なら支払手数料か外注費で処理し、新しいページや機能を足す作業なら制作費と同じ考え方で扱います。
よくある失敗は、保守の請求に機能の追加が同じ1行で入っていて、全額を支払手数料で処理してしまう形です。
請求書を受け取った時点で「保守」と「追加作業」を別の行に分けてもらうと、決算のときに迷わずに済みます。
制作費は情報を載せるか機能を持つかで2つに分かれる
会社案内や商品紹介のように情報を載せるだけのサイトなら、制作費を広告宣伝費として支出した年の経費にする考え方が広く使われています。
予約・会員登録・ネットショップ・サイト内検索のようにプログラムが動く部分はソフトウェアとして資産に計上し、5年で償却する扱いが一般的とされています。
自社で使うソフトウェアの耐用年数5年は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表に定められています。
資産に当たる部分でも、金額によっては支出した年に経費にできます。
法人の場合の目安を表にしました。
| 資産に当たる部分の金額 | 一般的な扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 支出した年に全額を経費にできる | 法人税法施行令第133条 |
| 10万円以上20万円未満 | 3年で均等に経費にする方法を選べる | 法人税法施行令第133条の2 |
| 中小企業者等の特例の範囲内 | 一定額まで支出した年に経費にできる | 租税特別措置法(上限額と期限は改正で変わる) |
| 上記を超える額 | ソフトウェアとして5年で償却する | 耐用年数等に関する省令 |
判断の材料になるのは見積書の内訳です。
「予約システム構築」「デザイン」「原稿作成」のように行が分かれていれば、どの部分が資産に当たるかを税理士が判断しやすくなります。
外部の予約サービスを月額で使い、サイトからそのページへつなぐだけの形なら、自社でソフトウェアを作ったのとは事情が違います。
この場合の月額の利用料は支払手数料などで毎月処理する例が多く、予約機能をサイトに作り込んだ場合とは扱いが分かれます。
「一式」だけの見積書では切り分けができないので、発注前に内訳を出してもらうよう頼んでおくと決算の手間が減ります。
情報を載せるだけのサイトでも、長く使う前提で大きな費用をかけた場合に資産として扱う考え方もあります。
ここは税理士によって判断の分かれる所なので、自社で決めてしまわずに相談します。
年払いと3年払いで変わる前払費用の扱い
サーバーやドメインを1年分まとめて払った場合は、条件を満たせば支払った年の経費にできます。
法人税基本通達2-2-14の短期前払費用の取扱いでは、支払った日から1年以内に提供を受けるサービスの費用を毎年同じ方法で処理していれば、支払った時点の損金にしてよいとされています。
2年分や3年分をまとめて払った場合は扱いが変わります。
1年を超える部分は前払費用として資産に置き、翌年以降の期に振り替えるのが基本の形です。
計算の例として、決算月が3月の会社が10月にドメインを3年分まとめて更新した場合を考えます。
今期の経費にするのは10月から3月までの6か月分で、残りの30か月分は前払費用として翌期以降に振り替えます。
個人事業主の場合も、所得税基本通達37-30の2に同じ趣旨の短期前払費用の取扱いがあります。
法人と個人で根拠の通達が違うので、税理士に相談するときは事業の形を先に伝えます。
金額が小さい前払いは重要性が低いとして簡便に処理する場合もあります。
どこまで厳密に分けるかは、税理士と決めて毎年同じ方法を続けます。
よくある失敗は、更新の案内メールに従って3年分が自動で引き落とされ、その年の通信費に全額入ってしまう形です。
ドメイン会社の管理画面で自動更新の年数を確かめておくと、引き落としの金額に驚かずに済みます。
決算前に確かめる5つの手順
維持費の処理は次の5つの手順で確かめると抜けが出にくくなります。
- サーバー会社とドメイン会社の管理画面で「請求履歴」や「契約一覧」を開き、1年分の請求を書き出します。
- それぞれの請求が月払い・年払い・複数年払いのどれかを確かめ、契約の期間を横に書き添えます。
- 制作会社からの請求は見積書と並べて、保守の作業と機能の追加が混ざっていないかを行ごとに見ます。
- 予約や会員登録などプログラムが動く部分があれば、その金額を抜き出して前の章の金額の表に当てはめます。
- 書き出した一覧と見積書・契約書を税理士に渡し、決まった科目を一覧の横に書いて翌年も同じ表を使います。
手順1で見落としやすいのは、制作会社がサーバーとドメインをまとめて契約していて、請求が「保守費」に含まれている場合です。
この形だと経理の上では通信費と保守を分けられず、制作会社を変えるときにドメインの名義がどこにあるかも分かりにくくなります。
契約時にドメインとサーバーの名義と費用の内訳を書面で確認しておくと、経理と移管の両方で困りません。
インボイス制度のもとで仕入税額控除を受けるには、適格請求書発行事業者の登録番号が入った請求書を保存します。
海外のサービスでは請求書の形式が国内と異なる場合があるので、登録番号の表示を一度確かめておきます。
サーバー会社やドメイン会社の請求書はメールやPDFで届く形が多く、電子帳簿保存法では電子取引のデータとして電子のまま保存することが求められます。
管理画面からダウンロードしたPDFを月ごとのフォルダに入れておくと、決算のときに探す手間が減ります。
法人の帳簿と請求書などの書類は、法人税法で原則7年の保存が求められています。
ドメインやサーバーのように毎年続く契約は、契約を始めた年の申込書や規約の控えも同じフォルダに残しておくと、後から契約の条件を確かめるときに役立ちます。
経理で迷いやすい3つの失敗と直し方
維持費の経理で起きやすいのは、科目の選び方よりも処理の仕方がそろっていないことによる失敗です。
3つの形と直し方を挙げます。
失敗1:担当者が変わるたびに科目が変わる
前の担当者はサーバー代を通信費で処理し、今の担当者は支払手数料で処理している形です。
どちらも間違いではありませんが、年ごとの維持費を並べて比べられなくなります。
直し方は費目と科目の対応表を1枚作り、経理のフォルダに置いておくことです。
過去の分を付け替えるかどうかは税理士と相談して決めます。
失敗2:月額制の契約の中身を確かめずに処理する
月額制ホームページの契約書に「制作費を月額で分割して払う」と書かれている場合、実態は制作物の買い取りの分割払いに近くなります。
利用料と同じ扱いでよいかは契約の中身で変わります。
契約書の「所有権」や「解約時のデータの扱い」の条項を税理士に見せて、判断してもらうと安心です。
失敗3:予約機能つきの制作費を全額広告宣伝費にする
予約システムやネットショップの部分まで広告宣伝費にしていると、あとから資産として計上し直すよう求められる可能性があります。
発注の段階で内訳を分けてもらい、決算前に税理士と扱いを決めておきます。
維持費の勘定科目でよくある4つの質問
Q1:個人事業主でも同じ勘定科目を使えますか?
個人事業主も通信費や支払手数料といった同じ科目名で処理できます。
私用のブログと同じサーバーを使っている場合は、事業で使う割合で按分します。
按分の割合の決め方は税理士に確認してください。
Q2:月額制ホームページの利用料は何費になりますか?
支払手数料か広告宣伝費で処理する会社が多く見られます。
契約に制作物の買い取りが含まれる場合は扱いが変わることがあるので、契約書を添えて税理士に確認します。
月額制の契約で確かめておきたい条件は料金プランのページでも説明しています。
Q3:Google広告やSNS広告の費用も維持費に入れますか?
広告の出稿料は広告宣伝費として、維持費とは分けて管理するのが一般的です。
維持費と混ぜてしまうと、サイトを持ち続けるための固定の費用がいくらなのかが見えにくくなります。
Q4:公開後の文字や写真の修正費用は何費になりますか?
文字や写真の差し替えのような修正は、保守と同じく支払手数料や外注費で処理する例が多く見られます。
ページを丸ごと増やす作業や機能を足す作業は、制作費と同じ考え方で金額と中身を見て決めます。
ホームページの費用の内訳や契約の分け方について、cantikではZOOM・電話・メールでご相談いただけます。
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