2026/10/14コラム-WEB
ホームページ移管の手順|5つの部品を止めずに移す
ホームページの移管はドメイン・サーバー・WordPress・メール・DNSの5つの部品に分け、新しい側をそろえてから入口を向け替える順番で進めれば、サイトもメールも止めずに移せます。
今の制作会社に成果の説明がなく、問い合わせても返事が遅い。
契約のときに聞いた内容と実際の作業が違う。
そう感じて移管を考え始めても、何を誰に頼めば移るのかが見えないと、不満を抱えたまま更新を続けることになりがちです。
この記事は移管を部品ごとに分け、それぞれで開く画面・受け取るもの・待つ日数を書きました。
ドメインの手続きはJPRSとICANNが公開している規則、WordPressの権限とバックアップはWordPress.orgの公式文書、Search Consoleの扱いはGoogleのヘルプをもとにしています。
制作会社を替える判断そのものや、契約書の読み方と権限の棚卸しはホームページのリニューアルのページと別の記事で扱っているため、ここでは移す作業に絞ります。
移管は5つの部品に分けると順番が決まる
ホームページの移管でまとめて「サイトを移す」と考えると手順が決まりませんが、5つの部品に分けると、どれを先に動かしてどれを最後に止めるかがはっきりします。
部品ごとに持ち主と移し方が違うからです。
| 部品 | 何を移すか | 手続きの相手 | 止まると何が起きるか |
|---|---|---|---|
| ドメイン | 管理する事業者の変更(名義はそのまま) | 今の指定事業者と新しい指定事業者 | サイトとメールの両方が見えなくなる |
| サーバー | サイトのファイルとデータベース | 新しいサーバー会社 | サイトが表示されない |
| WordPress | 管理者のアカウントとプラグインの一覧 | 今の制作会社 | 更新や修正ができない |
| メール | アドレスごとの受け皿と転送の設定 | 新しいサーバー会社 | 問い合わせや注文のメールが届かない |
| DNS | ドメインがどのサーバーを指すかの設定 | ドメインを管理している事業者 | 切り替えの前後で新旧が混ざる |
動かす順番は次の5段階です。
- 今のサーバーからファイルとデータベースのバックアップを取り、自社の手元に置く
- 新しいサーバーにサイトとメールの受け皿を作り、仮の表示で動作を確かめる
- ドメインの管理事業者を変える手続きを始める(数日かかる前提で日程を組む)
- DNSの設定を新しいサーバーへ向け替え、古いサーバーも並行して残す
- 新しい側で表示・フォーム・メールの送受信を確かめてから、古い契約を解約する
よくあるのは3の手続きと4の向け替えを同じ日に始めてしまい、ドメインの手続きが途中で止まったまま新旧どちらにも設定を触れなくなる形です。
ドメインの手続きは日数がかかる一方で、始めるだけなら他の部品と独立して動かせます。
先に始めておき、完了を待つ間にサーバーの準備を進めると日程が短くなります。
移管前のバックアップは2種類を手元に残す
移管を始める前に取るバックアップはサイトのファイルとデータベースの2種類で、どちらか片方では元の状態に戻せません。
WordPress.orgの公式文書「Backups」には、WordPressのサイトはデータベースとファイルの2つの部分からでき、両方がそろって初めて元どおりに復元できると書かれています。
ファイルにはWordPress本体・テーマ・プラグイン・アップロードした画像・wp-config.phpなどの設定ファイルが含まれます。
データベースには記事・固定ページ・コメント・設定の値が入っています。
同じ文書は取る順番をデータベースが先でファイルが後とし、戻す順番はファイルが先でデータベースが後としています。
手順は次の4つです。
- サーバーの管理画面でファイルマネージャーかFTPを開き、WordPressを置いているフォルダを丸ごと圧縮して自社のパソコンに保存する
- 同じ管理画面のデータベースの項目からphpMyAdminなどの管理ツールを開き、サイトが使っているデータベースをエクスポートして.sql形式で保存する
- wp-config.phpを開き、データベース名・ユーザー名・テーブルの接頭辞が2のファイルと一致しているかを見る
- 保存した2つのファイルをパソコンとクラウドの2か所に置き、ファイル名に取得日を入れる
WordPress.orgの文書は最新のバックアップを3つ以上、別々の場所と媒体に残すことをすすめています。
よくある失敗は制作会社に「バックアップはありますか」と聞いて「あります」と返ってきたことで安心し、自社の手元には何も残していなかった形です。
契約が終わると、そのバックアップには手が届きません。
サーバーの管理画面に自社で入れない場合は、この段階で制作会社に2種類のファイルを出してもらい、新しい会社に開けるかどうかを見てもらってください。
ドメインの認証コードは35日で期限が切れる
ドメインの管理事業者を変える手続きは認証コードの受け取りから始まり、.jpでは受け取った日の翌日から35日以内に使わないと最初からやり直しになります。
JPRSの「ドメイン名の管理指定事業者の変更」によると、手続きの流れは次のとおりです。
- 登録者が今の指定事業者に認証コード(AuthCode)を確認する
- 今の指定事業者がJPRSに発行を依頼し、登録者にコードが通知される
- 登録者が新しい指定事業者に、コードを添えて変更を申し込む
- 新しい指定事業者がJPRSに申請し、JPRSが今の指定事業者へ意思確認を依頼する
- 今の指定事業者から登録者に確認が届き、登録者が「承認」と回答する
- JPRSが管理指定事業者を新しい事業者に書き換えて完了する
同じページには認証コードの有効期限がJPRSの生成日の翌日を1日目として35日後の23時59分59秒と書かれ、開始から終了まで数日程度かかる場合があるとも書かれています。
ドメインに「指定事業者変更ロック」が設定されていると、この申請は受け付けられません。
JPRSの「指定事業者変更ロック」のページに、ロック中は指定事業者変更申請が不可とあり、解除の手続きは管理している事業者に問い合わせるよう案内されています。
.comや.netなどの場合は、ICANNの「Transfer Policy」が共通の規則です。
登録事業者(レジストラ)は登録者から求められたら5日以内に認証コードを渡すこととされ、登録から60日以内や前の移管から60日以内の移管は拒否できると定められています。
登録者の名義を変えた直後も60日間は移管できない決まりがあるため、名義の変更と事業者の変更を同時に進める予定なら順番を先に決めてください。
| ドメインの種類 | 規則を定めている団体 | 認証コードの期限 | 手続き前に外すもの |
|---|---|---|---|
| .jp・.co.jp | JPRS | 生成日の翌日から35日 | 指定事業者変更ロック |
| .comや.netなど | ICANN | レジストラの案内による | 移管のロック(60日の制限が付く場合がある) |
よくあるのは今の制作会社が登録者本人として認証コードを持っていて、承認の確認メールも制作会社に届く形です。
ドメインの登録者が自社かどうかはJPRS WHOISで検索でき、WHOISへのデータ反映は最長で1日かかるとJPRSが案内しています。
サーバーの移行は3つをそろえて新しい側に渡す
サーバーの移行では、ファイル一式・データベースのファイル・設定の値の3つを新しい会社に渡し、新しいサーバーに仮の表示を出した状態で確かめてからDNSを向け替えます。
設定の値はwp-config.phpに書かれているデータベースの接続情報と、サイトのURLとして登録されている文字列の2つです。
新しいサーバーでは次の順で進めます。
- 新しいサーバーにデータベースを作り、保存しておいた.sqlファイルをインポートする
- ファイル一式を新しいサーバーの公開フォルダに置き、wp-config.phpの接続情報を新しいデータベースの値に書き換える
- サーバー会社の「動作確認URL」やhostsファイルの書き換えで、DNSを変える前に新しい側の表示を見る
- トップページ・下層ページ・問い合わせフォームの送信・画像の表示を1つずつ開いて確かめる
3の仮の表示を飛ばしてDNSを向け替えると、表示が崩れたときにどちらのサーバーを見ているのかが分からず、原因を切り分けられません。
PHPのバージョンも移行の前に見ておきます。
古いサーバーで動いていたテーマやプラグインが新しいサーバーのバージョンで止まることがあり、サーバー会社の管理画面でバージョンを古い側に合わせてから動作を見ると切り分けが早くなります。
SSL証明書は古いサーバーの契約に紐づいているため、新しいサーバーで改めて発行します。
多くのサーバー会社が無料の証明書を管理画面から発行できるようにしており、DNSの向け替え後に発行が通る仕組みの場合は、切り替え直後に短時間「保護されていない通信」の表示が出ることがあります。
よくあるのは画像だけ表示されない形で、原因の多くはアップロードフォルダのコピー漏れか、データベースの中に古いサーバーの確認用URLが残っていることです。
URLの置き換えは新しい会社に依頼してください。
WordPressは管理者権限1つとプラグイン一覧を先に受け取る
WordPressの移管で先に受け取るのは、自社名義の「管理者」アカウント1つと、使っているプラグインの一覧です。
WordPress.orgの「Roles and Capabilities」によると、Administrator(管理者)は1つのサイトの管理機能すべてに手が届く権限で、Editor(編集者)は投稿の公開と管理ができる権限です。
編集者ではプラグインの追加やユーザーの管理ができません。
確かめる画面は管理画面の「ユーザー」の一覧です。
「権限グループ」の列に自社のアカウントが「管理者」として載っていれば、移管後に制作会社のアカウントを外す作業も自社でできます。
プラグインの一覧は「プラグイン」の画面で、有効になっているものと止まっているものを分けて書き出します。
見るのは次の3点です。
- 有料ライセンスのプラグインがあるか(ライセンスの契約者が制作会社なら、移管後に更新が止まる)
- フォーム・予約・決済など外部のサービスと接続しているプラグインがあるか(接続のアカウントが誰のものか)
- 長く更新されていないプラグインがあるか(新しいサーバーのPHPで動かない原因になりやすい)
よくある失敗は、移管の日に制作会社のアカウントを先に削除してしまい、そのアカウントが作成者になっていた固定ページの扱いを聞かれて作業が止まる形です。
WordPressではユーザーを削除するときに投稿を別のユーザーへ引き継ぐ選択肢が出るため、自社の管理者アカウントを引き継ぎ先に選んでください。
有料テーマや有料プラグインのライセンスが制作会社名義の場合は、同じ製品を自社名義で買い直すか新しい会社が別の製品に置き換えるかを移管前に決めておきます。
決めずに移すと、移管後に更新の通知が止まって初めて気づく形になります。
メールとDNSは古い側を残したまま切り替える
メールを止めない切り替えは、新しいサーバーに同じアドレスの受け皿を先に作り、DNSを向け替えたあとも古いサーバーをしばらく残して両方を確かめる順番で進めます。
DNSの変更は世界中の機器に同時に行き渡るわけではなく、各所に残った古い情報の有効期間(TTL)が切れるまで、古いサーバーを見続ける機器が残ります。
この間に届いたメールは古い側と新しい側に分かれて入ります。
手順は次の6つです。
- 今のサーバーのメール設定画面で、使っているアドレスと転送の設定をすべて書き出す
- 新しいサーバーに同じアドレスを作り、転送の設定も同じにそろえる
- DNSの管理画面でTTLの値を切り替えの前日までに短くしておく(反映待ちの時間が短くなる)
- Aレコード(サイトの向き先)とMXレコード(メールの向き先)を新しいサーバーの値に書き換える
- 送信元の正当性を示すSPFなどのレコードも新しいサーバーの指定値に書き換える
- 切り替え後の数日は古いサーバーの受信箱も開き、残ったメールを新しい側へ移す
Search Consoleの所有権の確認にも注意が要ります。
Googleの「サイトの所有権を確認する」のヘルプには、確認用のファイルを削除するとサイトは未確認の状態になると書かれています。
HTMLファイルやタグで確認している場合は、新しいサーバーにも同じファイルとタグを置いてください。
ドメインプロパティはDNSレコードが確認方法とされているため、DNSを別の事業者に移すときは確認用のTXTレコードも一緒に移します。
よくあるのはMXレコードだけ書き換えを忘れ、サイトは新しいサーバーで表示されているのにメールが古いサーバーに届き続ける形です。
古い契約を解約した日にメールが届かなくなって気づくため、6の確認期間を取ってから解約してください。
移管費用は7項目の作業範囲で変わる
移管の費用は決まった相場があるものではなく、次の7項目のうちどこまでを新しい会社に頼むかで決まります。
見積もりを比べるときは、金額ではなく項目ごとに「含まれる・含まれない・自社でやる」を書き分けると、会社ごとの差が見えます。
| 項目 | 作業の中身 | 費用が変わる要因 |
|---|---|---|
| 1. ドメインの手続き | 認証コードの取得・申請・承認の回答・ロックの解除 | 今の事業者とのやり取りを誰がするか |
| 2. バックアップの取得 | ファイルとデータベースの保存と中身の確認 | 自社でサーバーに入れるか |
| 3. サーバーの移行 | データの移動・接続設定・PHPの調整・SSLの発行 | サイトの容量とプラグインの数 |
| 4. WordPressの整備 | 管理者の付け替え・プラグインの更新・ライセンスの買い直し | 有料製品の数と古いプラグインの数 |
| 5. メールの移行 | アドレスの再作成・転送の設定・端末の設定変更 | アドレスの数と使っている端末の数 |
| 6. DNSの切り替え | TTLの調整・各レコードの書き換え・反映の確認 | DNSを自社で触れるか |
| 7. 旧環境の整理 | 解約の連絡・残ったデータの受け取り・アカウントの削除 | 今の契約の解約条件 |
1と7は今の制作会社とのやり取りが中心で、自社で進めれば費用はかかりません。
3と5は作業量がサイトの大きさで変わるため、ページ数・容量・メールアドレスの数を先に伝えると見積もりがぶれにくくなります。
見積もりに「移管一式」と1行で書かれている場合は、この7項目のどれが入っているかを質問してください。
入っていない項目は移管の当日に発覚し、追加費用と日程の遅れになりやすいからです。
cantikではホームページの移管と作り直しのご相談をZOOM・電話・メールで受けています(お問い合わせ)。
契約は1年ごとで、2年続けていただいた時点でサイトのデータを無償でお渡しし、移管などの細かい作業は別途費用でお手伝いします。
まずは無料相談から。
「何から始めればいいか分からない」段階でも大丈夫。
いまのサイトの入口を見える化し、直す順番をご提案します。
ご相談・お見積りはすべて無料です。
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